はじめに
仕事で困難にぶつかったとき、私たちはつい「人のせい」「環境のせい」にしてしまいがちです。
しかし、『プロフェッショナル 仕事の流儀』に登場した田代誠一郎船長の姿を見て、私はハッとさせられました。
舞台は、難所と呼ばれる玄界灘。
フィッシングガイドとして客を海へ案内し続ける田代さんは、釣れない日々にも「答えはすべて海の中」と言い、現場
と向き合います。
「わからないから、おもしろい」と語るその姿勢に、はたらくすべての人に通じる学びがありました。
このブログでは、田代船長の流儀を通して、私自身が課長という立場で日々直面する仕事の課題やリーダーとしてのあ
り方を重ね合わせながら、「現場に答えを求める」というはたらき方の本質について綴っていきます。
釣りバカ少年が挑み続ける“海”
玄界灘を舞台にフィッシングガイドとして活躍する田代誠一郎さん。
10人乗りの高速艇を操る“はだしの船長”は、少年時代から釣りに夢中でした。
23歳でガイドとしてデビューし、27歳で独立、自らの船を手に入れます。
海と向き合い続ける彼の言葉や行動には、現場に立ち続けてきた者だけが持つリアリティがありました。
「答えはすべて海の中」──この一言には、理屈ではなく経験で積み上げてきた信念がにじみ出ています。
どれだけ考えても、答えは「海の中」で起きていることの中にある。
観察し、失敗しても粘り強く検証し、また挑む。
その姿勢は、釣りという枠を超え、あらゆる仕事に通じる「プロフェッショナル」の在り方を体現していました。
※出典:NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』「はだしの船長、新たな海へ〜釣り船船長・田代誠一郎〜」(放送日:2020年7月21日)
※番組内容の引用は著作権法に基づき最小限の範囲で行っております。
答えはすべて海の中
成果が出ないとき、つい私たちは「人のせい」「環境のせい」にしたくなります。
それは人間の自然な反応かもしれません。
けれど、「答えはすべて海の中」という言葉には、その思考を根本から揺さぶる力がありました。

足元を見つめなおし、自分の立ち位置を問い続ける──それは簡単なことではありません。
しかし、現場にこそヒントがあり、課題解決の糸口は、実はいつも自分の足元にあるのです。
私は、今でこそ課長職にありますが、今もなお失敗やトラブルはつきものです。
後で、他の人のせいにしている自分に気付くこともあります。
そんな時は、だいたい課題解決に結びつきません。
もんもんと思い悩むだけで、前には進みません。
答えは、現場(足元)にあるのです。
それを直視することで、解決へ進むことができます。
人のせい、環境のせいにすることは簡単です。
簡単な上、自分が傷つかなくても済みます。
でも、前に進みません。
自分は、こんな目にあっているんだ。
だから、上手くいかない。
自分がいかに大変か、自分たちがいかに苦労しているかに焦点を当てていても、むなしいだけです。
誰も救われません・・。
課題から目をそらさず、自分事として対峙するのです。
過去の失敗を嘆いても何も始まらない。
課題となっている現場を直視しましょう。
人材配置で、工夫するところはあるか。
タスク配分は、偏っていないか。
チームのメンバーと、どのようにコミュニケーションをとっていくか。
優先するタスクは、なんなのか。
面倒なことを先延ばしにしていないか。
自分一人で考えても、答えが見つからなかったら、チームの仲間に相談してみればよいのです。
田代船長が、アニキになんでも話をしていたように。
わからないからこそ、おもしろい
「わからないことが、おもしろい」という言葉には、探求し続ける者の純粋さと覚悟が詰まっていました。
わからないからこそ、自分で試し、検証し、現場で確かめていく。

その姿勢は、どの仕事にも通じるものだと思います。
私自身が仕事を通じて向き合ってきた“わからなさ”と、その中で培ってきた挑戦と工夫について、自分の言葉で綴って
みたいと思います。
「わからない」ことが「おもしろい」
この番組の中で、最も共感したワードです。
私は、日々仕事の中で「わからない」ことを明らかにしていくプロセスに、強い「やりがい」を感じています。
その「わからない」を、チームで明らかにしていくプロセスが「おもしろい」のです。
「わからない」で諦めてしまうのは、とても「つまらない」と感じます。
たとえば、こんなことがありました。
顧客のニーズがよく「わからない」ことも多々あります。
顧客も人間なので、こちらが予想もしない反応をすることもあります。
そんな時、私はA4の紙を持ち出し、率直になんでもいいので書きなぐります。
顧客のニーズは何なのか
顧客は、どのように思っているのか
このような資料を示してみよう
チームの仲間に相談してみよう
「わからない」から「明らかにする」「答えに近づいていく」のです。
このプロセスが「おもしろい」のです。
結果が伴えば、なお嬉しいです。
自信になります。
チームと成功体験を共有することほど、「おもしろい」ことはありません!
足元を見つめ、答えを探し続ける
田代船長の姿勢は、まさに「現場のプロフェッショナル」でした。
うまくいかないときに、環境や他人のせいにするのは簡単です。
ですが、彼は「答えはすべて海の中」という言葉に象徴されるように
自らの足元──つまり“海の中”を見直し、地道に、真摯に向き合い続けました。

また、「わからないからこそ、おもしろい」という探求心を持ち、
海の可能性を信じて日々挑戦を重ねていく姿には、あらゆる仕事に通じる誠実さと希望がありました。
私自身も、これまでの仕事の中で、現場に立ち続けることの意味を痛感しました。
信頼されるリーダーになるために。
答えを“現場”に探し続けるその姿勢を、これからも私は実践していきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
迷いながらも歩み続けるあなたの背中を、これからもそっと押せる言葉を届けていけたら幸いです。
結城 一郎