はじめに
みなさん、こんにちは
今回は、夜間中学校教師として活躍された入江先生を取り上げた、番組について紹介していきたいと思います。
私のファーストインプレッションは、夜間中学校なんて、あったのかしら?というのが正直なところでした。
なので、新しいことを学べるという新鮮な感覚で、視聴することができました。
夜間中学校の歴史的な変遷についても知ることができ、視野が広がったのを感じます。
そして、なんにしても、入江先生の取り組みは、さすがだな~・・と思わずにいれませんでした。
特に、教師として、「先生ぶること」「上からものをいう感じ」ではなく、「生徒との水平な関係」という言葉から、はたらく一個人として、感銘を受けました。
それでは、今回も、番組を視聴した感想を踏まえ、「はたらく」に関連付けて、私なりに解説していきます。
※出典:NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』「心よ、壁を越えてゆけ~夜間中学教師・入江陽子~」(放送日:2021年5月21日)
※番組内容の引用は著作権法に基づき最小限の範囲で行っております。
授業中にわるふざけ 入江先生が気付いたこと
入江先生は、ある時期から若い外国人労働者がやってきて、夜間中学校の様相が変化したと言っています。
そして、生徒への接し方など、これまでのものでは、通用しなくなったと言っています。
何らかの理由で、住み慣れた祖国を離れ、日本にやってきた若い生徒たち。
彼らの抱えている大きな課題は、言葉を介してのコミュニケーションです。
まだ、十分な社会性が育っていない若者が、初めて異国で過ごす体験は、さぞ不安でいっぱいだったことでしょう。
彼らは、日本で生活する以上、日本語を学ぶ必要があります。
一からのスタートです。
大変な労力だと思います。
授業に集中できず、わるふざけをしてしまう、若者がいても無理はありません・・。
そんな若者たちを、入江先生は、「生徒になめられてはいけない」というスタンスで対応しました。
そして、うまくいかない・・
なんでだろう・・・
ここから、入江先生は、新たな気付きを得るのでした。
「水平な関係」
入江先生は、模索し続けた結果、「生徒との水平な関係」に行きつきました。
「上から目線」でない、教師を目指したのだと思います。
生徒が、日本で生活していく上で、最も初めにクリアしなくてはいけないこと・・
それは、日常生活で使う日本語です。
ただ、入江先生のすごいところは、日本語を教えるという仕事だけでなく、生徒との「心の通じ合うかかわり」と大切にしておられました。
外国で、どんな生活をしていたのか、知りたい。
どんなことが得意だったのか、それを生かすことはできないか・・
生徒との水平な関係でないと、そこまで踏み込もうとは思わないと思います。
入江先生は、それらをやった。
それが、生徒の心に響いた。
すごい先生だな~と思いました。
得意なことを生かす
番組の後半で、なかなか授業に打ち込めない生徒を、みるみるうちに、改善に導いた例を紹介していました。
なかなか日本語の習得に身が入らない生徒を、入江先生はいち早く察知し、なにかできることを考えたのだと思います。
その生徒が、楽器演奏が得意だったことから、関連付けて、一緒に送別会で、合奏しようと持ち掛けたのです。
生徒と、練習を重ねていくうちに、生徒は前向きに学習に取り組むようになっていきました。
入江先生も、ギターを弾いて一緒に演奏です。
持ち味を生かして、どのような最適なアプローチができるか、考えた入江先生はさすがです。
印象的だった場面は、生徒がいままでやったことのない、楽器にチャレンジしたいと、入江先生に伝えたことです。
いままで、日本語の学習に、前向きでなかった生徒なのに・・
自分から、考えたことを、先生に伝えるなんて・・。
人は変わるんですね。
それも、入江先生が、対等な関係として(上から目線でなく)、生徒に何ができるか、考察し続け寄り添っていったからにほかありません。
心が通じたのですね。
そして、生徒の学習も前向きになっていきました。
さいごに
「はたらきガイド」として、はたらくことに関連付けるのならば、次の2点の学びがあったと考えます。
1 状況が変われば、私たちも変化
夜間中学校という職場において、若い生徒が入ってきた時が、転換期だったといえます。
これまでの生徒とは、質が全く異なるのです。
生徒が、多感な若者であるということ
入江先生は、失敗から学んだ知見を、正しく状況に合わせていく努力をしました。
私たちの仕事にも、まったくもって通じるものがありますね。
感染症の拡大とともに、在宅で仕事をすることも、選択肢の一つとして、社会に浸透してきました。
会議や研修は、一つの会場に集まらなくても、リモートでできるようになってきました。
情報機器の取り扱いに、遅れをとると、そこに仕事の時間的なロスが生じてしまいます。
なので、私のような中年の世代は、情報機器の取り扱いに長けている若者に、分からないことを聞く機会が増えてきているのではないでしょうか。
私たちが、状況の変化にどのように対応していくかが、その後の成果にあらわれてくるので気が抜けませんね。
2 人を相手にするという仕事 ~真摯であれ~
教師という職業は、知識を伝達するだけではなく、人と人とのかかわりを通して、生徒の自立を導く仕事です。
入江さんは、「水平な関係」で、生徒と対話し、信頼と実績を得てきました。
また、得意なことを生かして、生徒とかかわろうと試み、その過程で心が通じて、良い方向に導くことにつながりました。
そのに通底している理念は、「真摯さ」だと、私は思います。
生徒の自立のために、日本語をひたすら教えていればよいというスタンスではなく、数々の経験から、生徒の成長を願い、向き合ってきたのです。
自分の得意なことも、関連付けて、なんとか、生徒とかかわろうとする、その取り組みは、「真摯さ」に他ありません。
私たちの仕事も「真摯さ」が必要ですね。
「お客様のために、よい仕事をしよう」というブレない1本の大木があって、はじめて道は開けていくのではないでしょうか。
そのための手段は、いろいろあるわけで、自分で考えていくしかないのでしょうけども、まずは、その根っこを持っていないと・・
たくさんの大切なことを気付かせてくれた、本番組にただただ感謝するばかりです。
今回のブログを読んでくださった方々に、少しでも参考になれば、大変うれしく思います。
最後まで、お読みいただき、ありがとうございました。
結城一郎